ブーツ・レザーシューズ
お洒落は足元からというように、靴はコーディネートの上でも、重要度の高い存在です。
ここではその中でも、ブーツとレザーシューズについて紹介します。
・ワークブーツ
ワークブーツは、その名の通り、労働のためのブーツで、労働と一言で言っても様々な職種があるように、ワークブーツもそれぞれの職業に適した、多くの種類が作られています。
エンジニアブーツ(技師)やペコスブーツ(農作業)、ハンティングブーツ(狩猟)、ラインマンブーツ(電線作業)、ロガーブーツ(木こり)、など多種多様です。
ただ、一般的な総称としてワークブーツというと、レッドウィングのアイリッシュセッターのような、落下物から足を守るためにトゥの部分にスチール・キャップが入っている、安全靴として利用されるようなものを指すことが多いようです。
・エンジニアブーツ
エンジニアブーツはワークブーツの一種で、工場での安全靴が原形です。
作業中に何かに引っ掛けてしまわないように、靴紐がなく、衝撃から守るためにつま先には鉄板が内蔵され(スチールやプラスチックのものもある)、サイドから物が入らず固定されるように、足首と履き口にバックルつきのベルトが付けられています。
また、ソールには油等で滑りにくいように、オイル・レジスタントや火に強いファイヤー・レジスタント、釘等の踏み貫きを防ぐために、ソール部にスチールを入れたパンクチュア・レジスタント等があります。
近年では、その安全性とゴツイデザインで、バイカーにも好まれています。
・ペコスブーツ
ペコスブーツは1953年、レッドウィングがアメリカ中西部のペコス川の名前からとって、商標として登録したものですが、現在ではほぼ一般名詞的に使われています。
もともとは農作業者のブーツが原型となっていて、ウエスタンブーツの流れもくんでいるようです。
形はウエスタンブーツから装飾を取り払い、若干ルーズフィットになっているのが特徴です。
シンプルながらも、美しい機能美を持ったフォルムであるように思います。
ヒールがあるものと、クレープソールのものがありますが、前者の方がよりウエスタンブーツの形に近く、クレープソールのものは、より農作業に適したものになっています。
・ハンティングブーツ
ハンティングブーツは狩猟のためのブーツ。
狩猟の性質上、森林や湿原などのフィールドや、寒さに対応できることを求められます。
形は前述したレッドウィングのアイリッシュセッターのようなものが多く見られます。
アメリカのウィスコンシン州のRussell Moccasin(ラッセルモカシン)や、メイン州のL.L.Beanのブーツがハンティングブーツとしては有名。
どちらもアメリカ北部でスタートしたブランドで、老舗メーカーであり防寒性能など機能にも定評があります。
・アウトドアブーツ
アウトドアブーツは、アウトドアでの使用に適したブーツ全般のことを指します。
アウトドアにも様々なフィールドがあるように、ブーツもそれぞれに特化したものがあります。
トレッキングブーツ(登山)、フィッシングブーツ(釣り)など、それにハンティングブーツをアウトドアブーツの一つに数えることもあるようです。
ただ、一般的にはトレッキングブーツのことを、アウトドアブーツと言うことが多いです。
アウトドアブーツ全般に共通した特徴は、通常のタウンユースのブーツよりも高い耐久性と保温性、疲れにくい構造を持ち、軽量でありながら、アッパーが非常に丈夫で、ソールにはビブラムソールを採用されているものが多いです。
また、ゴアテックスなどの透湿性や保温性に優れたハイテク素材を使用されるなど、メーカーの創意工夫が随所に散りばめられています。
アメリカのDanner(ダナー)や、同じくL.L.Beanなどのものが有名です。
・ウエスタンブーツ
別名、カウボーイブーツとも呼ばれるように、19世紀頃にカウボーイたちに履かれるようになり、徐々に独自の進化・発展をしていったブーツです。
乗馬時に靴が簡単に脱げないよう、またサボテンの刺などから足を守るため、ロングブーツになっています。
乗馬の際にあぶみから靴が外れたり、すべったりしないように、ヒール部分が高く前に傾斜にしていて、すばやくあぶみを探す事が出来るようにつま先は細く、罠にはまった時に抜け出しやすいように履き口は太めに、牧場での作業がしやすいよう、履き口前後にV字のカッティングが入れられるなど、実は非常に機能を重視した作りになっています。
そのような仕事のためのブーツに、お洒落心を忘れずに、レリーフやステッチを施し、独自の華やかな装飾ブーツに進化していったのは、カウボーイたちの心意気といえるでしょう。
ちなみに着脱する際に、専用のブーツ・ジャックを使用します。
ウエスタンブーツで有名なブランドにはTony Lama(トニーラマ)があります。
・カントリーブーツ
カントリーブーツは英国貴族たちが、郊外へハイキングや狩りのために履くことを目的として誕生したブーツです。
水の進入を防ぐ背の高いタン、プル・ストラップが特徴で、ヒールもそれほど高くなく、ゴム底だったりします。
カントリーブーツで最も有名なブランドは、Tricker's(トリッカーズ)という英国王室御用達ブランドです。
7アイレット・ウィングチップのTricker'sのブーツは、グッドイヤー・ウェルト製法でしっかりとつくられていて、カントリーブーツの代名詞的存在です。
他にもフランスのParaboot(パラブーツ)が有名で、こちらはノルウィージャン製法を採用しており、フランスの軍や警察にも採用されています。
・サイドゴアブーツ
サイドゴアブーツは1836年、英国のビクトリア女王のためにJ.スパーカーホールの手によって生まれました。
女王の夫君アルバート公が 履いた事からアルバートブーツとも呼ばれています。
19世紀に紳士用の靴として復活し、ロンドンのチェルシー地区に住んでいた芸術家たちが愛用していたことで、チェルシー・ブーツとも言います。
くるぶしが隠れるぐらいの丈で、サイドに伸縮性のある「エラスティック」ゴアを施したブーツで、ヒールはキューバン・ヒールという太めのヒールが使われています。
サイドに伸縮性のあるゴアを使用しているので、着脱が簡単に行えるのが特徴ですが、経年により伸びてしまうという欠点もあります。
サイドゴアブーツはビートルズのメンバーが履いていたことでも有名で、来日の際にも履いていたので、その当時の日本でも流行したようです。
ちなみにビートルズが履いていたものは、J.M.WESTONというメーカーのもので、サイドゴアブーツで最も有名なブランドの一つです。
・チャッカブーツ
チャッカブーツは、くるぶしに少しかかるくらいの浅めのブーツの総称で、1898年に英国で誕生し、1920年代にはアメリカでも流行した紳士靴ですが、近年ではタウンユースとして親しまれているブーツです。
チャッカブーツはポロ競技用の乗馬靴として誕生したので、ポロの競技時間(1チャッカ=7.5分)の名前をもらってチャッカブーツになりました。
サイドゴアブーツやジョッパーブーツなどと併せてドレスブーツというブーツの一つにカテゴライズされることがあるようです。
アッパーには(カウハイドやコードバンなどの)表皮が使われていることが多く、トゥはプレーントゥで、2アイレットのものはアメリカン・スタイル、3アイレットのものはブリティッシュ・スタイルと言われています。
また、英国クラークス社のデザートブーツの原型でもあります。
チャッカブーツで最も有名なメーカーは米国ALDEN(オールデン)。
2アイレットのアメリカン・スタイルのチャッカブーツは、1884年創業以来、最高級のコードバンを使用し、伝統的な製法で作り続けられ、かなりの高価格ですが、その値段にふさわしい最高の品質を誇っています。
・ジョドプール
ジョッパーブーツとも呼ばれ、甲と足首を細いストラップで止める形をしており、激しい動きにも対応する男らしい形のブーツです。
1890年代に英国で登場し、インドのジョドプール騎兵隊が乗馬に使用していたことからこう呼ばれています。
・デザートブーツ
2枚の革を側面で縫いあわせただけというシンプルな構造で、主に起毛素材が使用され、クレープソールで砂が入りにくい工夫がされているのが特徴です。
クラークス社のネーサン(ネーザン)・クラーク氏が兵役でビルマに駐屯している時に原形の靴に出会い、砂漠地帯の軍隊のために開発されたとPRしたため、この名前がついたとされています。
クラークス社の商標でカジュアル・シューズの原点ともいえるブーツです。
・ワラビー
クラークス社の商標で、人間の足型をかたどったオブリック・トゥ、一枚革を左右から足を包み込むように仕上げた袋縫いが特徴のアンクルブーツです。
この名前の由来は、前から見たフォルムが小型のカンガルー、「ワラビー」の足に似ていること、あるいは、お腹の袋で子どもを育てるワラビーの様に優しく足を包み込むことだといわれています。
・モカシン
1枚の革で靴底・側面・爪先を包み、甲部分にU字型の革を当てて革紐を通した靴のことで、北米のネイティブアメリカンが履いていたヒール部分のないスリッポン式の短靴や長靴の総称を言い、また、アッパーに「ふた」を縫い付ける製法のことを指す場合もあります。
・ローファー
U字型のモカシン縫いに、着脱の簡単なスリッポン型で、甲の部分にコインストラップという飾り革がついているのが特徴です。
特に、コインストラップの中央に溝を切って、アメリカの1セント(ペニー)硬貨を飾れるように穴があいているものを、コインローファー、またはペニーローファーと言います。
一般的な学生靴がこれにあたります。
このように、特にブーツは様々な種類があり、よく見る形のものでも、意外とそのものの本来の用途や歴史を知らないものなのです。
ぜひ参考にしてみてください。