デニム
ジーンズを語る上でもっとも重要なのが、デニムという生地の存在。
今日では、デニムといえばジーンズを意味するぐらい、切っても切れない関係です。
デニムそのものの起源は、フランス語の「セルジュ・ドゥ・ニーム」
に由来するとされています。
セルジュ・ドゥ・ニームとは、フランス南部に位置する繊維業の盛んな
ニームという町で作られた綾織物(サージ)のこと。
ただこのフランス産の生地は、羊毛とシルクとの混紡織物だったのに対し、
18世紀後半から生産がはじまったアメリカのデニムは綿製品でした。
このミッシングリンクを埋めるのが、
おそらく英国ランカシャー州の織物工場だろうといわれています。
そこでは1800年頃までに、フランス産の羊毛・シルク混紡織物のデザインを模したような、
コットン製の「デニム」と呼ばれる生地が製造されていました。
場所は変わって1800年頃のアメリカは、空前の繊維業ブームに沸いていました。
そしてついに19世紀半ばには、国内有数の繊維メーカーだった
ニューハンプシャー州のアモスケイグ製造会社(1804年創業)が、
デニムの生産を開始します。
染色した糸と生成り(染色していない)の糸で綾織りにしたこのデニム生地は、
フランスやイギリス産の後染めデニムとはかなりおもむきの異なるものでした。
注目すべきは、インディゴ染料が、ほぼ常に糸の染色に使われていた点です。
経糸(たていと)はインディゴブルーの色に染め、緯糸(よこいと)は生成りの状態。
インディゴ染料には特異な化学的性質があるため、綿糸(めんし)の表面だけが染まって、
糸の中心は染まりません。
これをなか白といって、ジーンズの縦落ち(ジーンズは、はきこむうちに色が落ちてきますが、
それを色落ちといい、その中でも表面に縦の線がでる色落ちのことを「縦落ち」といいます)
の秘密はここにあります。
頻繁にはくことと、洗濯の繰り返しによって、デニムの表面が磨耗し、
綿糸を構成している繊維がだんだんと取れて、芯部の白さが表れてきます。
ですから、生地が使い込まれるごとに、デニムの風合いが深まっていくのです。
これが、デニムが多くの人を魅了してやまない大きな理由だといえるでしょう。