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ボタン

ボタンとは「衣服のあきをとめ、同時に装飾を兼ねる様々の形を持つ小片」と、 田中千代の服飾事典で定義付けられています。
歴史的背景から見ても、中世ヨーロッパの時代からすでに、装飾の意味合いが非常に大きく、 むしろ現代の方がボタンに対するこだわりが少なくなってしまっているような気がします。
ボタンの知識を知ることで、 ファッションへのこだわりを深めていただけたら・・・と思います。

では、いくつか素材別にボタンの種類を挙げてみます。

・天然素材ボタン
貝、皮革(ひかく)、木、竹、骨、角など天然素材を利用して作られます。
天然素材の持つ独特な風合いは、 プラスチックや樹脂ボタンとは一味ちがう高級感があります。

この中でも特にオススメなのが次の2つ。

・貝ボタン(シェルボタン)
貝ボタンの材料としては、高瀬(たかせ)貝、白蝶貝、黒蝶貝、茶媒貝、 メキシコあわびなどがあります。
プラスチックでは味わえない深みがある光沢が特徴で、 シャツ用ボタンとしては高級なものとされています。
ただし天然素材だけに耐久性が弱く、圧力等で割れたりしやすいので、 洗濯の際はネットに入れて洗うなど、注意が必要です。

ちなみに、西オーストラリアのブルームの周辺の海では、 世界最高級の白蝶貝が採れ、かつて日本人ダイバーが、 外国人には真似の出来ない潜水技術と忍耐力で大活躍しました。
日本のボタン工業もこの貝ボタン作りから始まり、 プラスチックボタンへと移行していきました。

・水牛ボタン
インド水牛は、名前こそ水牛になっていますが、 実際は乾燥地帯で飼われている陸牛です。
角は細く長く、空洞部分が少ないのでボタンの素材としては、最適のものです。
この水牛ボタンに似せたポリエステルボタンは多くありますが、 本物にはやはり風格が漂っています。
天然素材には、ワシントン条約で捕獲が禁止されているものもあり、 生産方法も昔ながらの手作りに近い方式が採用されているので、生産量には限度があり、 コストも高くつくので、値段的にも高くなることがネックと言えます。

・カゼインボタン
1898年にドイツで発明された、 牛乳の成分であるレンネット・カゼインから作られるボタンです。
丸い棒状を輪切りにする製法や、板状をその形に切り抜いて加工する方法があります。
乳白色の上品な光沢を持ち、加工、着色も容易で、 ボタンに要求される耐衝撃性、耐薬品性、耐水性に優れ、 ボタン素材として最適なものだと言われています。
様々な色調、柄行、表面感を表現できるため、 ファッションセンスの優れた北部イタリアのボタン工場に所属するアルチザン(職人)が、 自分のアイデアを商品化するために、 ガラライトと呼ばれるこの素材を好んで使用しました。

・ナイロンボタン
石油から作られるポリアミド樹脂から作られ、 製法は金型を使用するので大量生産が可能です。
重量も軽いので婦人服のボタンとしてよく使われます。

・ポリエステルボタン
石油から作られるポリエステル樹脂が原料。
貝ボタンや、水牛ボタンなど、幅広く天然物に似せた柄や色柄を作れます。

・尿素ボタン(ユリアボタン)
尿素樹脂で作られ、色は全て先染めにて作られるため、後染色はできませんが、 洗濯やクリーニングで色落ちすることはありません。
ただ、高熱や酸が加わると毒性物質のホルムアルデヒドが分離するので 注意が必要です。
値段が安いので、ワークウエアのボタンによく使われていました。

・金属ボタン
真鍮(しんちゅう)、メタルキャスト(スズ系の合金)、亜鉛などの素材から作られます。
学生服からスーツ、ブレザーなど幅広く使用されています。
意素材との組み合わせにより、 ファッション性の優れたボタンを作り上げることも可能です。

素材別ではその他にも、ガラスボタン、陶磁(とうじ)ボタン、 組紐(くみひも)ボタンなど様々あります。
次に、その形状から名づけられたボタンを見ていきます。
これからあげるものは同時に、 古着に良く見られる希少価値の高いボタンでもあります。

・猫目ボタン
ボタンの通し穴の部分に切れ込みが入っていて、 猫の目のように見えることからこの名称がつきました。
主に1960年代以前のワークシャツやジャケットに多く使われ、 古着好きが喜ぶディテールの一つです。

・ドーナツボタン
ボタンの真ん中に穴が空いている形状が、 ドーナツを連想させることから名付けられた金属製ボタン。
ホールの奥には、ボタンを留めるツメが固定されているのが見えます。
Leeのカウボーイパンツなどに用いられ、 1940年代中頃までしか見られない貴重なボタンです。
特にジーンズのトップボタンには、ブランド名が刻印されているのが普通ですが、 第二次世界大戦中には簡素化のため、 どのブランドも月桂樹の柄が刻印されたものを使用していたのも有名な話です。


では最後にボタンにまつわる話を1つ。
ヨーロッパでは、古くなって傷んだ服などを処分する時に、ボタンを外して大切に取っておき、 他の服のボタンがなくなったときのかえにしたり、 気に入ったボタンを他の服に付けかえたりすることがあるそうです。
そうすることで、長い年月の間使われたボタンには、 使っていた人の想いなどが込められるようになり、かけがえのないものになります。

現代の日本には、そういった風習はあまり見られませんが、 シャツやジャケットなどはボタンの目立つ服なので、 ボタンを付け替えると雰囲気が変わって面白いものです。

お気に入りのボタンを使い続け、 後世までつながっていくなど、素敵なことではないでしょうか。

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