オトコの日常着 http://www.m-dailywear.com/

原皮

レザー、すなわち革と一言で言っても、とても様々な種類のものがあります。
まずは「革」になる前の最初の段階、原皮別にピックアップして、 その特徴をあげていきます。

1.牛皮
牛は原皮のうち最も幅広く革製品に使われています。
もともと飼育頭数が一番多く(トップが牛、次いで羊)、 さらに、成牛で畳2枚分と広い面積が採取できます。
見た目に美しく丈夫という、 革素材としてこの上無い特性を持っている点も大きな理由でしょう。

そして同じ牛革でも、性別や年齢、産地などによって、 さらに細かく分類されます。

・カーフスキン
生後6ヶ月以内の子牛で、牛皮でもっとも高級とされています。
組織繊維がきめ細かで柔らかく、傷も少ないので、 カバンや財布、靴の表面など高級革製品によく利用されます。
中でもエルメスの「ボックスカーフ」は有名。
反面、あまり丈夫ではないので、 強度が求められるものには適していません。

・キップスキン
生後、半年から2年くらいの大人になる前の牛の皮は雄雌に関係なくキップと呼ばれます。
カーフに比べるとやや肉厚で、強度も増しますが、キメの細かさでは劣ります。
カーフに次ぐ高級素材です。

・ステアハイド
生後3から6ヶ月以内に去勢(闘争心をなくして群飼育できるようにしたり、 脂肪の適度な肉質にするため、生殖腺(せいしょくせん)を除去し、機能をなくすること) したオスで、生後2年以上経った成牛の皮。
最も多く使われており、単に「牛革」と表記されていた場合、 これと判断していいでしょう。

・カウスキン
生後2年以上のメスの成牛のうち、出産経験のあるもの。
キメの細かさと厚さはキップとステアの間ぐらい。
ちなみに未産のものはカルビンと呼ばれカウよりも上質とされています。

・ブルハイド
去勢しておらず、生後3年以上経過したオスの成牛皮。
かなり厚手になり、繊維組織の粗さも目立ちますが、 何よりも丈夫で、靴底、あるいは工業用革として重宝されています。

2.馬皮
牛に比べると繊維構造が粗く、摩擦に対しての抵抗力も弱いですが、 柔軟性があり、皮の表面はスムース。
靴のライナーやジャケットに多く使われます。
ただ、あとで紹介する「コードバン」だけは別格。
これはムチで打たれて堅くなった農耕馬のお尻の部分の事で、 空気も通さないほどの密な繊維組織と、仕上げた際の美しい光沢が特徴。
ただし最近は、農耕馬の減少に伴い、 大型馬のお尻の皮をタンニンなめし&光沢仕上げした革であれば、 コードバンと呼んでいます。

・コードバン
本来は農耕馬の尻の皮を使ったもので、1頭から採れる皮のうち1割程度にしか満たず、 希少な存在。
繊維組織は密で、非常に丈夫、タンニンなめしにより独特の光沢があります。

・ホースレザー
ツルツルした手触りの硬質なコードバンに対して、 ホースレザーと呼ばれる他の部位の皮は柔らかいが、 牛皮と比べると密度や強度が低く、摩擦抵抗の面でやや劣っています。

3.豚皮
原皮資源が乏しい日本ですが、唯一豚皮だけは国内供給が可能で、 海外へも輸出しています。
その特徴は、軽くて摩擦に強く、通気性にも優れ、 銀面(革の表面)を生かした仕上げにすると、革表面に毛穴が3つずつ並びます。
なお、外国産の野豚は、アメ豚やベッカリーなどと呼ばれます。

4.羊皮
強度や摩擦には弱い羊皮ですが、きめの細かさや、柔らかさは抜群。
しっとりと吸い付くような質感で、衣類や手袋に良く用いられます。
特に生後1年以内の子羊の革はラムスキンと呼ばれ、 抜群に感触が優れるため高級手袋の素材として珍重されています。

5.山羊皮
羊の革よりも繊維が緻密で硬いため、薄くて強いのが特徴。
毛穴がきれいで繊維の充実度が高く、型崩れしません。
仔山羊の皮はキッドスキンといいます。
6.鹿皮
柔らかで手触りがいいのに耐水性があり、 洗っても堅くならず、伸びても元に戻るという特性を持っています。
冬は暖かく、夏は涼しいという、オールマイティーな性能もあわせ持ちます。
なめしを終えた牡鹿の皮表面から、銀面を削り落したもの、 または銀面をサンドペーパーなどで起毛させたものをバックスキンといい、 スエード、ベロア、ヌバック等の起毛した皮の総称として誤解して呼ばれていますが、 本来の意味ではあくまでも鹿革のことを指します。
ちなみに、アクセサリー、楽器、車などの磨きに使うセーム革は、 鹿革を油なめしで仕上げたものです。
革の中で水洗いしても大丈夫なのは、このセーム革だけです。

この「皮」になめしをすることで「革」に、 さらに、加工、仕上げといった人の技術を加えることで、 普段目にする革になるわけです。

人気ブログランキング